一人が好き。でも寂しがりやの人生後半戦

楽しくて少し知的な生活を目指すアラフィフのブログです

「月と六ペンス」守りに入りたくなる今、あえて

と六ペンス」
1919年に発表されベストセラーになった
サマセット・モームの小説です。


イギリスで何不自由なく生活していた男が
ある日突然、家族も仕事も捨てパリへ、
最終的にはタヒチへ絵を描くために向かう。


ゴーギャンの生涯にヒントを得て
描かれていますが
小説の中の画家、ストリックランドは
もっと凶暴で純粋だと感じます。


腹が立つほど嫌な性格なのですが
読みすすめるうちに
彼をつき動かしているものに
少しずつ歩み寄っている自分に気づきます。


近寄りすぎると危険だけど
少しはなれたところから見ていれば
この上なく魅力的。


関わった人を不幸に落とし入れ
自らも悲しい最後をとげるけど
生みだした芸術は後世に残る傑作。


美とは、芸術家が世界の混沌から
魂を傷だらけにして作り出す
すばらしいなにか、
常人が見たこともないなにか…


小説「月と六ペンス」に出てくる
大衆画家だけれど
確かな審美眼の持ち主
ストルーヴェのことばです。


だから
芸術家と同じように魂を傷つけ
世界の混沌を見つめないことには
美を理解することはできない
と。


今から100年前に
こんな小説に多くの人が夢中になったんだと
そんなことも感慨ぶかく


読書の尽きない魅力を
改めて。


最初の17ページは退屈。
著者も、ここまでは本筋と全く関係ないと
言ってるので、とばしてもいいかも。