めくるめくときめきを 憧れの世界を感じる本
倉敷の大原美術館から物語は始まる。
そして舞台はニューヨークのMoMA、スイスのバーゼルへ。
これだけでもめくるめくトキメキ感。
登場人物はアートをこよなく愛する人々。
ルソーの作品をめぐり、若いころのピカソも血の通った人物として登場する。
アートの専門家であるアメリカ人男性と日本人女性。
この二人の洗練された会話、行動、愛に溢れる言葉、すべてに魅了される。
しかも、本の世界の中に自分もいるような錯覚が。この感じがなんともときめく。
美術業界の内情も垣間見え、興味深い。
世界的に有名な絵画を海外から借りて企画展を開くって、考えてみればものすごく大変なことなのだ。これからはその点も心して鑑賞しよう。
アンリ・ルソーの絵は、独特なので一度見たらその作風は忘れないけれど、
これまであまり惹かれなかった。
でも、この本を読んで、本物に会ってじっくりと向き合いたいと思うようになった。
ニューヨークのMoMAに足を運ぶか。
日本に大作「夢」(約2×3m)が来るのを待つか。