時には美しい装丁の本を愛でる 秋の夜長に
持ち歩きがしやすいので、もっぱら文庫本を手にすることが多い。
でも、図書館で借りた原田マハさんの本の装丁があまりに美しく、
手をかけた単行本もやはりよいものだな、と思いました。
赤と黒の対比が潔く美しい。
内側に使っている和紙のような紙の趣も素敵。
フランス中部のブサック城で見つかった世にも美しい
タペストリーをめぐってのお話。
作家ジョルジュ・サンドが城の女城主に招かれ、
この謎の多いタペストリーの不思議な世界に引き込まれる。
ジョルジュ・サンドと親交の深かった画家ドラクロワや
恋人の作家ショパンらがさりげなく登場するのもおもしろい。
ジョルジュ・サンドの作品は読んだことがなかったけれど、
魅力的な女性ですね。
恋多き作家ですが、晩年は女性の権利を広げる運動にも
力を入れたとか。
彼女の波乱万丈な人生にももっと触れたくなりました。
物語としてはあっさりしていますが、なんとも優雅な世界にひたれますし、
興味の幅が広がる、美しい本です。
秋の夜長にゆっくり読むのがふさわしいかも。