自由に!私にはもう成績表はないのだ
ぐずぐず言いながらも気づくと半世紀を生きてしまった。
不器用な性格なので、生真面目に生きるしかなく、
「こうあるべき」という社会のルールにかなり縛られてきた。
大好きな読書ですら、「これ読んでおくと、何かの役に立つかも」
なんていう判断基準がいつもどこかで働いていたのです。
でもね、もう、やめようと思います。
おもしろい、好き、そういう素直な気持ちをいちばん大切にして生きたい。
だってもう、私に成績表をつける人はいないんですから。
(強いて言えば、職場に人事評価があるけれど、もうそこは絶対な信頼を得たので
大丈夫!)
なんとなくぼんやりと考えていた、この思いを形にしてくれたのが、この本。
トランスジェンダーのアーティストの卵が、パリに暮らしながら、魅力的な人々との出会いを通じて、自分を認めていくお話です。
ほかの原田作品の文体とはちがう軽いタッチで、最初は戸惑ったけれど、
引き込まれて、引き込まれて、私の大切な一冊となりました。
実在するパリのリトグラフ工房や、カフェの様子が知れるのもとってもおもしろい。
今回はルソーの名前は出てこないけれど、国立近代美術館で観たこの絵のメッセージ、
自由に生きていいよ、表現していいよ、
を感じながら読みました。