かっこ悪いほうが好かれる
40歳くらいまで、自分をよく見せたいがために見栄を張っていた。
嘘はつかないけれど、物は言いようで、言い方によっては同じ事がらでもよく聞こえるものなのだ。
だから、なるべく恵まれている境遇で、いい人生を生きているふうに人に話していた。
でも、そういう人生って疲れる。
あるとき、ちょっと話したくないような恥ずかしい境遇を知人に話してみたら、とても親身になってくれた。
おやっと思った。
決定的だったのは、次男が中学受験したときのこと。
惜しくも不合格で、地元の中学に行くことになった。
そこで近所の知り合いたちに会うたびに
「地元の中学に進学します、これからもよろしくね」と言っていたのだが…。
私は気づいてしまった。
相手の顔に安堵の表情が浮かび、ことさら優しくしてくれることに。
人は、自分より恵まれた人に対して、どうしても妬みの感情を抱く。
でも、つらい思いをしている人には、優しくなれる。
だから、かっこ悪いことも隠さずに、さらけ出したほうが自分にも他人にもいい。
人は醜い感情を持つ生き物だけれど、優しくもなれる。
その優しさを引きだせる生き方のほうが得。
そう考えたら、少し楽に生きられるようになった。
☝30年以上も前からうちにあるかっこ悪くてかっこいい置き物(本来はカレンダー)